日本人と不動産

都市生活への人口流入と核家族化により、土地や家に対する観念は変化してきたとはいえ、日本人には先祖代々から継がれた土地を売るのは恥ずかしい、という土地に対する独特の感性があります。ですから土地を売るということに対して消極的な傾向があるといえます。移民や移住の経験は少なく、これは江戸時代に移動を制限された幕藩制、さらに鎖国制度の名残であります。土地は守るべきであるという言い方のほうが正しいのかもしれません。土地売買が国民に自由化されたのは明治時代の初期のことです。それは土地が金融商品の対象となったことを意味し、次第に社会経済の中に浸透していきました。現代に比べれば情報社会とはほど遠い、その時期や、それ以前の江戸時代後期においては、江戸から外へ、外から江戸へ人身売買も含め、人材斡旋したり、情報提供を施す口利きや仲介人が必要とされ、ブローカー業が盛んになります。そのような背景から不動産仲介業が発展してゆきます。ほかに金融業や街の有力者、あるいは信託会社、財閥がなど不動産仲介業に乗り入れます。人口の都市への流入や、江戸時代までの封建制度で不遇されていた、長男、嫡子以外の人口がそれぞれ独立的な生活を求めるようになり、核家族化し、家庭を築き、家を構えるようになって都市の人口は増大します。高層の集合住宅の建築技術や習慣がないために、住宅は基本的に木造による戸建てであり、地価の高い都市中心部から、鉄道と沿線開発により近郊、郊外に都市圏が拡大されました。このような時代を背景に不動産業から住宅ローンという発想が生まれてゆきます。大都市圏の都市開発は、従来から鉄筋建築による集合住宅でまかなってきた西洋の都市開発との違いは、ここにあります。その後さらなる人口の増大と、都市集中が、高層集合住宅の都市中心部への建築、さらに郊外への拡大と広がってゆきます。